飲食店やコンビニなどを中心にアルバイトの人が使ってしまいがちな「バイト敬語」

一般的に間違った用法とされており、もちろん使わないほうがいいのですが、この手の言葉はアルバイトさんからアルバイトさんへ伝承していくものなのでどこが間違っているのか認識しにくいのが難点ですよね。
そもそも間違いと分かっていても周りが使っていると「自分の認識が間違っているのでは?」などとも錯覚しがちです。

今回はそんなバイト敬語についてまとめてみます。
自分の接客上の言葉遣いと照らし合わせてみてください。

そもそも「バイト敬語」って何?

まず「バイト敬語」の定義について。

バイト敬語(バイトけいご)とは、レストランやファーストフード店などの飲食店において、アルバイト店員が多数を占めるサービス業界での接客時に特徴的な日本語表現である。
Wikipedia「バイト敬語」

アルバイトさんが敬語と考えて使っているものの、実は日本語として誤った使い方である、というものですね。

ありがちなバイト敬語と正しい言葉の使い方

代表的なバイト敬語の事例と、正しい言い回しを確認してみましょう。

(事例集)
【誤】「ご注文はパンケーキとコーヒーでよろしかったでしょうか?
【正】「ご注文はパンケーキとコーヒーでよろしいでしょうか?
こちらでも解説していますが「よろしかった」は過去に対しての表現なので間違いです。

【誤】「ドリンクセットの方はいかがなさいますか?」
【正】「ドリンクセットはいかがなさいますか?」
→「〜の方」は方向を指すので間違い。「の方」を抜いて喋りましょう。

【誤】「こちらがパンケーキになります
【正】「こちらがパンケーキです
→「なります」がNG。この文脈で言うと「パンケーキではない何かがパンケーキになる」と変化を示す意味になります。

【誤】「とんでもございません
【正】「とんでもないことでございます
→「とんでもない」で一語です。ただちょっと仰々しい感じもしますよね。「とんでもないです」でも問題ありません。

いくつか代表的なものをピックアップしてみました。他にも調べてみると間違えやすい言葉がたくさんありますので気になる場合は調べてみましょう。

文化として浸透しつつもある?

伝統的な日本語の使い方からすると間違っているのですが、最近では言語学者の方の中でも「間違っていない」という意見もあるようです。
例えば「よろしかったでしょうか」に関しては、こういった解釈も。

敬語に詳しい同志社女子大学の森山由紀子教授によると「以上でよろしいでしょうか」が相手の判断を確認する表現なのに対して、「よろしかったでしょうか」は「(あなたの判断はもう聞いたはずだが)私の認識はこれで間違いないか」と自分側の事柄を確認する表現で、この表現の背景には相手への配慮がある。「よろしかったでしょうか」を「よろしいでしょうか」の誤りと断じることはできず、相手に直接YES・NOを迫るのを避けるという意味で「聞き手への気配りによって生じた表現」なのだという。
「よろしかったでしょうか」 実は正しいバイト敬語  :日本経済新聞

言葉は移り変わるものなのでいずれ正式な日本語として認識される日も来るのかもしれませんね。
一方で、やはり現時点だと年配の方を中心に不快感を与えることが多いので、正しい言葉遣いを覚えておく方が無難でしょう。