こんなニュースを目にしました。

働きやすさ情報 ネットに 厚労省、 数万社を集約 女性活躍や有休取得率 労働環境の改善促す  :日本経済新聞

抜粋してみると次のような取り組みです。

厚生労働省はどの企業で女性が活躍しているかや、有給休暇の取得率が高いかといった「働きやすさ」が一目でわかる数万社規模のデータベースをつくる。2018年中の開設をめざし、だれでもインターネット上で閲覧できるようにする。長時間労働の是正や、女性活躍を柱にする政府の働き方改革を後押しする。

2018年を目処に厚労省手動で働きやすさの指標をまとめるデータベースを作るということですね。

今は企業のホームページを見ても綺麗なことしか書いておらず、求職者にとっては実際にどういった労務状況なのかが分かりません。
それを一括で管理することで「より情報をわかりやすくする」というわけです。

求職者がほしい情報が掲載される

報道によるとネットに掲載される情報は次のようなもの。

  • 若者の採用に積極的かどうか
  • 女性の活躍状況
  • 有給休暇の取得
  • 育児休暇の取得率
  • 離職者数
  • メンター制度の有無
  • 残業時間の削減

求職者が選ぶ基準にするリアルな情報が掲載されるようになります。
これを見ることによって例えば女性であれば「出産後も働けるかどうか」「どのくらい活躍できるか」であったり、若者であれば「ブラック企業ではないかどうか」を事前に確認することができるので、各々のキャリアプランを描きやすくなります。

キャリコネのような口コミサイトはなくなるのか?

今、こうした情報を掲載しているのが現役、あるいは以前働いていた社員の生の声を集める「キャリコネ」のような会社の評判サイトです。

厚労省が今回のような取り組みをすることによって、今あるキャリコネのような口コミサイトは今後どうなるのでしょうか。

あくまで私の予測の範囲になりますが、現在の口コミサイトは引き続き重宝されると思っています。というのも、厚労省に掲載される情報というのはあくまで企業側が提出するものだからです。
もちろん国に情報を提供するのに嘘を書く企業はいないと思いますが、最初の方はグレーなもの(会社は残業を禁止しているがそのぶん家でやる仕事が多い、などの建前と現実の違い)もあるのではないかと予測しています。

キャリコネのようなサイトの場合、企業側でコントロールできるものではないのでより「生の声」が入ってくる傾向にあります。
「社訓は将来のことを語っているが、実際には旧時代の精神論が横行している」といったような、今の口コミサイトに掲載されているような生々しい声はおそらく厚労省には掲載されないでしょう(笑)。

ただ、今回の厚労省の取り組みが意味がないかというとそういうわけでもありません。
この時代(2018年以降)の求職者は、厚労省のデータベースと、キャリコネのような一般企業が運用しているサイトの両方を活用して企業のより詳細な情報を集めることが出来るようになります。まず求職者にとってはそこがメリットです。
その際に明らかに厚労省に掲載されている情報と一般企業の運用サイトの情報に乖離があったり、実際に入った場合に「話や条件が全然違う」となると、企業もみずから労務環境を整備せざるを得なくなります。特に「国が管理している情報」という意味では企業側も手抜きをするわけには行かず、おのずとブラックな会社やグレーな会社は減っていく、ということになるわけです。この循環は素晴らしいですね。

情報が開示されればされるだけ後ろめたいことを行っている企業にとってはやりにくい環境になるので、働く人々にとって良い流れと言えるでしょう。