「かとく」とは2015年4月厚生労働省により発足された「過重労働撲滅特別対策班」(じゅうろうどうぼくめつとくべつたいさくはん)のことを指します。
違法な長時間労働など労働基準法に違反している会社・事業所に対して監督指導を行う役割を担い、場合によっては現場責任者を送検するなどの法的な手段も採られることが特徴です。

「かとく」の発足式

2015年4月に発足された際のレポートが厚生労働省の公式サイトに掲載されています。

フォトレポート(「過重労働の撲滅に全力で取り組み、働く方が安心して活躍できるように成果をあげてほしい」。過重労働撲滅特別対策班、通称「かとく」発足式で訓示する塩崎厚生労働大臣。)|厚生労働省

この時点で既に「長時間労働削減推進本部」という組織が厚労省の中で設置されていたものの、その動きをさらに促進すべく「かとく」を発足し、東京労働局と大阪労働局の2箇所に人員を配置しました。
将来的には47労働局にかとくを設定することが目標として掲げられています。(参考資料

会社の中には労働時間のデータ改ざんなどを行っているところもあるので、改ざんを暴く専門的な分析技術なども持ち合わせています。
実際にNHKの報道(※飲食店の査察)などを見ると表向きに記録されている退勤時間だけではなく、レジの記録、従業員のICカードの記録など各方面からの分析をしていることがわかります。

過去のかとく実例

かとくが一躍有名になったのは発足の2015年4月、靴の「ABCマート」の長時間残業問題でした。

この問題に入る前におさらいをしておきたい基本的な労働のルールは以下の通り。

  • 労働は基本的に1日8時間/週40時間まで
  • 時間外労働(残業)をさせる場合には労働者と雇い主で双方合意の上「36協定」を結び行政に届出する

この前提の上で、ABCマートの話に戻ります。
ABCマートの事例では、(ABCマートの労働組合による)36協定で定められた「79時間」を大幅に超えていたことで役員と店長が書類送検されています。
このように違法な労働環境を暴き、必要に応じて書類送検もできるというのがかとくです。

その後も2016年1月にドン・キホーテ、10月にサトレストランシステムズなど大手企業を中心に送検されています。
そして現在(2016年11月)には電通へかとくの捜査が入っています。

実際に働く人としてはどうすればいいのか?

このような「かとく」ですが、実際に現場で働く人間としてはどのようなことに注意していけばいいのでしょうか。

前述の事例で特徴的なのは店長など現場の責任者も書類送検の対象となっているところです。
当たり前といえば当たり前なのですが「会社に言われたから仕方なく」では済まないことになるということは、現場管理者としては意識しなくてはいけないことでしょう。

次に管理者ではない一般の従業員について。
一般の従業員の方については「残業がつらい」などそちら側になるでしょう。
行うべきこととしては「違法だな」と思ったら真っ先に各自治体の労基に相談することです。
違法な長時間労働が行われている場合には誰かが相談すべきところに相談しないと、いつまでもその現状が白日のもとにさらされることはありません。

自分自身の労働環境を守るためにも「おかしいな」と思ったらすぐに行動するようにしましょう。