最近耳にするようになった会社が有給休暇を買い取ってくれるという「有給休暇の買い取り制度」。
「どうせ使えないんだから買ってくれた方がいい」と思っている人も多いでしょう。

ただ、現状(2015年8月9日時点)では有給休暇の買い取りは禁止の通達が出ており、行うことは出来ません。
なぜ禁止になっているのか、そもそもの有給休暇の意味や基礎知識なども振り返ってみながら考えてみましょう。

会社ではちゃんと守られてる? 法で定められた有給の数

まず最初に労働基準法に掲載されている有給の日数を覚えておきましょう。
労働基準法第三十九条「年次有給休暇」の部分です。

 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
労働基準法

飛び先にも図表が書いてあるのですが6ヶ月の追加分の日数しか書いていないので分かりやすくまとめました。

holiday

「全労日の八割以上出勤」という制限がありますが、きちんと与えられているでしょうか?
まず最初にそこを確認してみてください。
(法が守られていないような会社の場合はブラックの可能性が…要注意です)

有給休暇の買い取りは違法

有給休暇の買い取りについては労働基準法には明記されていませんが、昭和30年11月30日に行政から通達がされています。

年次有給休暇と買上げの予約(基収4718号)
年次有給休暇の買上げの予約をし、これに基づいて法第39条の規定により請求し得る年次有給休暇の日数を減じないし請求された日数を与えないことは、法第39条の違反である。

ざっくりと言うと「買い上げをすることによって労働者に規定の有給を与えないことは違法である」ということです。
元々有給休暇は労働者の働き過ぎを防いだり、心身のリフレッシュのために設けられた制度。なのに、買い取りをすることによって有給休暇を使わせない、ということになると労働者にとっては「休めない」ということになりますよね。そういう背景から有給休暇の買い取りを禁止しています。

一部例外もある

ただし、全ての売買を禁止しているというわけではなく、以下の場合は買い取りしても問題ないという説もあります。
※注 法の専門家によって諸説あり

  • 時効を迎えた有給(付与から2年経過したもので法的に消滅しているもの)
  • 退職時に余った有給

元々の「休ませるため」という主旨で考えるとどちらも買い取ることには問題なさそうです。
ただ会社からすると買い取ることは会社の出費になってしまいますし、前述の通り会社としての義務ではないので、買い取りを積極的に行っているというところはあまりないようです。