毎年、1月の成人の日と4月1日の新社会人・新入社員デビューの日に出る伊集院静さん、サントリーウイスキーの新聞広告。

2018年・新社会人向け版です。

4月1日が日曜日だったため4月2日に発表となりました。

ぜひとも今日の新聞を購入していちど読んでもらいたいです。

「高く、広く、大きな夢を持て。」(2018年4月2日)広告全文

高く、広く、大きな夢を持て。

新社会人おめでとう。今日、君はどんな職場に立っているのだろうか。
どんな仕事であれ、そこが君の出発点だ。
君は今、自分の将来の姿を想像できるかい? それはできやしない。誰だって
皆そうだったんだ。君が、どんな学歴であれ、いかなる国の人であれ、今日
の出発点では、皆が平等に立っていることを覚えていおいてほしい。
君たちは皆、素晴らしい何かを獲得できる可能性を持っている。
それがこの国の、この社会の、自由で、ゆたかな可能性なんだ。
ひとつアドバイスをしておこう。
今、何かを獲得し、現役で汗を流している先輩たちは、百人が百通りのやり
方で道を見つけ、歩いているんだ。
ただその人たちには、ひとつの共通点があるんだ。
それは日々見上げている山が、乗り出している海原が、他の人より
高く、広く、誰より大きい夢を抱いているということだ。
若いくせに大きなことを口にして……、そんな連中は放っておけばいい。
笑われてもいい。失敗してもいい。失敗の中にこそ輝くものはある。
最後に、君の夢はどんな色ですか。君の夢は皆を幸福にできますか。自分だ
けがイイなんて夢は卑しいんだ。
明治の時代、若き一人の男が言った。「やってみなはれ」そう、まずやって
みよう。その瞬間、夢は夢でなく、君の道となるだろう。
山は雲が、海は波が、辛い試練を与える。
でも疲れたなら夕暮れ、一杯やりたまえ。まぶしい明日に乾杯しよう。

まぶしい明日に乾杯。
伊集院静

「独りで、旅に出なさい」(2018年1月8日)広告全文

2018年・新成人向け版です。

独りで、旅に出なさい

二十歳、成人おめでとう。
今日から大人と呼ばれても、ピンとは来ないだろう。私もそうだった。
今、君は自分がどんな大人になるのか想像もつかないだろう。
どうしたら君の、自分なりの大人の姿が見えるだろうか?
そのためには、いろんなものを自分の目で見て、さまざまな人と出逢うことだ。
私の提案は、旅だ。それも若い時に、独りで旅に出ることだ。
日本でも、海外でもかまわない。一番安いチケットを買いなさい。金がなければ
君の足で歩き出せ。自分の足で見知らぬ土地を歩き、自分の目で、手で、肌で
世界に触れることだ。
どんな人がどんなふうに生きているかを見ることだ。
インターネット、テレビ、新聞、書物で知る世界とはまったく違う世界だ。
世界は君が考えているより広く、大きく、豊かで、また切なく、貧しくもある。
独り旅はまず、自分がまだ何者でもないことを教えてくれる。
自分の力で歩くことが、人生の、生きる基本ということを学ぶだろう。
若い時になぜ旅が必要か? それは若い新鮮な目にしか見えないものが、今の
純粋なこころでしか獲得できないものが、間違いなくあるからだ。
旅に疲れたら、夕空を、星を仰いで一杯やればいい。
苦くて、美味い、旅の酒の味は、生涯の宝になるはずだ。
二十歳の旅人に、乾杯。

二十歳の旅人に乾杯。
伊集院静

伊集院静さんの広告は2000年から開始

私はもはや社会人となって大分経っているのですが、毎年この時期になると広告を見て頑張ろうという気持ちになります。
サントリーのこの広告、元々は作家の山口瞳さん、脚本家の倉本聰さん、現在の伊集院静さんと続いています。

伊集院静さんの広告は2000年からずっと続いていますが、伊集院静の「贈る言葉」として単行本にまとめられていますので興味がある方は読んでみてください。
※「伊集院静の「贈る言葉」」は2012年刊行なので、それ以前の広告が中心です。

また余談ですが、実は私、伊集院静さんの本は小説・エッセイ含め色々と読んだのですがお酒が好きな人であれば「二日酔い主義」シリーズがおすすめです。傑作集も出ていますが「あの子のカーネーション」から個別に読んでいった方が面白いと思います。

2017年版伊集院静さんの新社会人広告はこちら
【2017年版】伊集院静さん、新社会人向けサントリー新聞広告