先日、平成27年国勢調査「人口速報集計」(ざっくりいうと国税調査の速報版)が出たので見ていたら興味深いデータが出てきました。
百聞は一見に如かず。まずは数値から紹介します。

※今回の元データはこちらです。
平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要(PDF)

女性の労働力率が半数近くになっている

まず「労働力人口」の意味と「労働力率」の算出方法について説明します。
(1)実際に働いている就業者と、働けるが現在失業中の「完全失業者」を合わせた数値が「労働力人口」
(2)対象の母数は15歳以上の男女
(1)を(2)で割った数が「労働力率」。つまり、15歳以上の中で「働いている人」「失業中だが働ける人」の「労働力」、日本の中でどれくらい「労働力となりうる人がいるか」の割合が「労働力率」です

その上で昭和60年、平成12年、平成27年の男女別労働力率の推移を見てみましょう。

男性 女性
昭和60年 63.7% 47.8%
平成12年 62.1% 48.7%
平成27年 59.8% 49.8%

見ていただくと分かるように男性の労働力率の割合が減少傾向にあり、女性の労働力率の割合が上昇傾向にあります。

数値推移の背景としては少子高齢化

男性の労働力率減少傾向の背景の一つとしては日本の高度経済成長を支えた「団塊の世代」などと呼ばれる世代がどんどん引退してしまっていること、当時は男性中心の社会だったことなどが考えられます。

同資料の中の別の数値資料として日本の高齢化状況の数値推移が掲載されています。
見てみると日本の65歳以上の人口割合は26.7%。おおよそ日本の人口の4分の1が65歳以上になっており、他の国と比較しても最多。
参考に他の国の状況を見ると韓国が13.1%、アメリカが14.8%というような状況です。多い国でもイタリアの22.4%なので、日本の高齢化は世界の中でも顕著なことがわかるでしょう。

女性の数値推移については、男女雇用機会均等法の制定・改定、近年の女性の社会進出推進活動などに伴っていると言えそうです。
男女雇用機会均等法自体は1985年に制定されたものですが、そこから様々な問題点をクリアにしていってようやくこうして数値的に動きが出てくるというものなのですね。

女性労働力率の増加で日本の働く環境が柔軟に変化していく

女性が社会進出しているとはいえ、現実的な問題として「出産」「育児」などのライフイベントに立ち会うことがあります。
その際に女性は会社を休むことを余儀なくされてしまい、従来のように「おめでた退職」としてしまうと、ただでさえ人手不足と言われている社会でますます人手が足らなくなってしまいます。
既に取り組んでいるところも多いのですが、今後はさらに女性の労働力人口が増えていくのを機に休職・育児休暇などいわゆる「働きやすい会社づくり」をすることで社会が変わっていくのではないか…と思ったりしています。

こうした実数値で見ると、育児休暇制度や復職制度、あるいは女性役員の積極的な推進などの社会的な変化が何故起こっているのかが見て取れますね。